あな痔(痔ろう)とは、肛門の中にたまった「うみ」が皮膚の外へ通じるトンネル(管)をつくり、しこりとなる病気です。初期には「肛門周囲膿瘍(のうよう)」と呼ばれる状態を経て進行します。一般的な痔とは異なり、自然に治ることはほとんどありません。
あな痔(痔ろう)の初期症状
痔ろうの初期段階である「肛門周囲膿瘍」では、次のような症状がみられます。
・お尻がはれて強く痛む
・しこりがある
・排便の有無にかかわらず肛門が痛い
・発熱がある
・肛門からうみが出てくる
・市販薬(座薬・飲み薬)を使っても改善しない
これらの症状がある場合、単なる痔ではなく、痔ろうの可能性があります。特に「排便と関係なく痛む」「熱が出てきた」「うみが出る」といったサインは見逃さないことが大切です。
あな痔(痔ろう)が進行すると
うみがたまった後、肛門と肛門周囲の皮膚との間に管ができ、しこりになります。このしこりが「痔ろう」です。
受診される方の多くは、
・腫れ(しこり)
・排便と関係のない痛み
・発熱
といった症状を訴えて来院されます。これは、痔ろうの初期である肛門周囲膿瘍の状態です。症状が強いと、座る・歩くなど日常動作がつらくなることもあります。
あな痔(痔ろう)になりやすい人
・中年から高齢の方に多い
・男性に多い(約9割が男性)
・下痢をしやすい方
大人で重症化しやすいという特徴はありませんが、「乳児痔ろう」といって赤ちゃんが発症することもあります。年齢に関係なく、気になる症状がある場合は早めの相談が安心です。
あな痔(痔ろう)の原因
主な原因は、肛門にある小さなくぼみ(肛門小窩)から細菌が入り込むことです。
特に、
・体調が悪いとき
・疲労がたまっているとき
・免疫力が低下しているとき
などに感染しやすく、うみがたまってしまいます。つまり「忙しさが続く」「睡眠不足」「体力が落ちた」などのタイミングで起こりやすい面もあります。
あな痔(痔ろう)の治療方法
痔ろうは、生活習慣の改善や塗り薬・坐薬などの保存的治療ではほとんど効果がありません。多くの場合、手術治療が必要になります。
治療ではまず、
1. うみをしっかり出す
2. 抗生剤で再感染を防ぐ
ことが大切です。きちんとうみを出すことで炎症が治まりやすくなり、痔ろうのしこりが小さくなります。その結果、根治手術が行いやすくなります。反対に、うみが十分に排出されないままだと炎症が長引き、症状が落ち着いたりぶり返したりを繰り返すことがあります。
痔ろうは自然には治りません
うみの出口となった皮膚の傷口がふさがっても、一度できたトンネル(管)は消えません。
症状が落ち着いても「治った」わけではなく、痛みや腫れが再発することがあります。放置すると、
・うみが繰り返したまる
・複雑なタイプの痔ろうに進行する
こともあるため、診断がついた段階で根治手術を受けることが勧められます。「しばらく良くなったから大丈夫」と思っても、油断は禁物です。
自己判断は禁物
一般に痔の症状は「温める」と緩和するといわれていますが、痔ろうの場合は「冷やす」ことが基本です。温めると痛みや腫れが強く感じられることがあるため、症状が痔ろうの可能性を示すときは注意しましょう。
また、市販の座薬や飲み薬で改善しない場合は、痔の種類が違う可能性があります。症状が続く・繰り返す・発熱を伴う・うみが出るなどのときは、早めに医療機関を受診してください。早期の診断と適切な治療が、悪化や再発を防ぐために重要です。

