切らずに治す、いぼ痔の日帰り治療
ジオン注射(ALTA療法)は、従来であれば手術が必要と考えられていたいぼ痔の一部を、切開せず注射で治療する方法です。脱肛を伴う内痔核に対して効果が期待でき、治療中や治療後の痛みがほとんどなく、日帰りで受けられる点が大きな特長です。肛門科への受診が恥ずかしい、仕事や学校を休みにくい、手術が怖い、治療後の痛みが心配といった患者さんにとって、負担を抑えやすい選択肢といえるでしょう。なお、症状が軽いうちは、お薬だけで治療できることもあります。
治療内容と術後の変化
ジオン注射に使う薬剤は、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を有効成分としています。硫酸アルミニウムカリウムが痔核に炎症と線維化を起こして縮小させ、脱出や出血を改善します。タンニン酸は、過度な炎症を抑えて組織障害を防ぐ役割を担います。治療では鎮静剤を点滴から投与し、肛門括約筋のゆるみを確認したうえで、必要に応じて局所麻酔を追加します。その後、1つの痔核に4か所へ分けて注射する「四段階注射法」で施術します。注射部位は、上極部粘膜下層、中央部粘膜下層、中央部粘膜固有層、下極部粘膜下層で、麻酔を含め所要時間は約10分です。治療後はしばらくすると出血が止まり、脱出も軽くなっていきます。多くの患者さんでは、当日の排便時から脱出の改善がみられます。
術後にみられる変化と注意点
ジオン注射の術後は、経過を知っておくと安心です。
・注射直後から内痔核が縮小し始める
・針穴から出た血液がたまることがある
・最初の排便で血液が出ることがあるが、通常は心配いらない
・翌日から脱出がなくなることが多い
・痔が硬くなり、排便時に違和感や引っかかり感が出ることがある
・こうした違和感は通常1〜2週間ほど
・癒着や固定は約1か月かけて強くなっていく
また、ジオンに含まれる硫酸アルミニウムカリウムは腎臓から尿中へ排泄されるため、術後は十分な水分摂取と尿量の確保が大切です。これは手術前から意識していただく必要があります。
副作用と術後ケア
術後には、注射した部分の痛みや腫れのほか、発熱、肛門部の重だるさが出ることがあります。ただし、当院では治療後に肛門付近の違和感や軽い痛みが出ても、翌日にはほとんど消失するケースが多くみられます。術後は注入軟膏を使用していただきます。これは出血の予防と、ジオン注射によって起きた炎症を抑えるためです。また、アルミニウム化合物の注入に不安を感じる患者さんもいらっしゃいますが、十分な水分補給を行うことで、約24時間以内に排泄されるとされています。
メリット・デメリットと受けられない方
ジオン注射のメリットは、切開せず治療できること、入院が不要なこと、痛みや出血が少ないこと、治療期間が短く負担を抑えやすいこと、保険適用で経済的負担も比較的軽いことです。一方で、すべての脱肛する内痔核を治せるわけではなく、症例によっては手術や併用治療が必要です。また、約10%に再発がみられるとされています。妊娠中・授乳中、透析中、前立腺がんなどで放射線治療歴のある方、潰瘍性大腸炎、小児、嵌頓痔核、全身状態が不良な患者さんは受けられません。
当院での日帰り治療と費用
当院は胃腸科・内科を併設しているため、人目を気にしすぎず通院しやすい環境です。平日だけでなく土曜日も終日、手術・診察に対応しています。当院では、術前説明から術後管理まで丁寧にサポートしています。ジオン注射は健康保険が適用され、3割負担の患者さんで約25,000円〜約30,000円が目安です。出血や痛みだけでなく、違和感など気になる症状があれば、悪化する前に早めにご相談ください。