スキンタグは見た目だけで判断しないことが大切
スキンタグとは、肛門まわりにできる皮膚のたるみやゆるみのこと。症状がなければ安易に手術をしないほうがよい場合もあります。とくに女性では、肛門の前方、つまり膣側にビラビラした皮膚として気づかれることもあります。
原因① 慢性裂肛に伴う「見張りいぼ」
ひとつ目は、慢性裂肛に伴ってできる見張りいぼ。慢性裂肛は、いわゆる肛門管にできる皮膚潰瘍のようなもので、その潰瘍の外側に腫れが生じ、硬くふくらみます。慢性裂肛そのものが治ると、見張りいぼはやや小さくなり、やわらかくなることはありますが、大きく腫れたものは完全には消えません。この残った見張りいぼがスキンタグになります。見張りいぼの大きさには個人差があり、大きいほどスキンタグも大きくなります。まずは慢性裂肛の治療が優先で、肛門狭窄を伴う場合には肛門狭窄形成術が必要になることもあります。
原因② 血栓性外痔核のあとに残るたるみ
血栓性外痔核のあとにできるスキンタグ。急に肛門が腫れて戻らない、強く痛むといった症状の多くは、外痔核の血流障害によって血管の中に血栓ができた状態で、これを血栓性外痔核といいます。長時間座っていることや、便秘・下痢などによる長時間のいきみでうっ血が起こり、血栓が作られます。保存的に治療した場合やそのまま経過をみた場合、血栓が吸収されて腫れが引くまでには数週間かかることがあります。ゆっくりしぼんでいくため、一度引き伸ばされた皮膚が余り、スキンタグとして残ることがあります。
原因③ 女性に多い直腸粘膜脱に伴うもの
三つ目は、直腸粘膜脱に伴う肛門管の余剰皮膚。これは女性に多くみられ、とくに肛門の前方にビラビラした皮膚ができるのが特徴です。年齢とともに会陰部や直腸粘膜のゆるみが強くなることがありますが、痛みはほとんどありません。女性は肛門の前に膣があり、直腸肛門と膣が隣り合っていて壁が比較的薄いため、出産や慢性便秘などをきっかけに前方へ直腸瘤ができることがあります。そこまで強くなくても、粘膜が伸びて肛門管の皮膚までゆるんでくると、スキンタグが大きくなることがあります。パンツが汚れる、粘液や血が付くといった症状がある場合には、直腸粘膜脱として手術を行う場合があります。
原因④ 肛門疾患の手術後に生じることもあります
四つ目は、痔核や裂肛などの手術後です。いぼ痔の手術をしたのに、またできたと感じる患者さんもいらっしゃいます。痔核結紮切除術のあとでは、切除部位の外側にドレナージ創を作るため、そこがなかなか治らないと外側が腫れ、見張りいぼのように残ることがあります。また、同時に2〜4か所を手術することが多いため、その間にある外痔核部分が相対的に腫れることもあります。肛門縁は全周性に血流が回っているため、切除していない部分がうっ血し、腫れが残ってスキンタグになることがあります。
切除は慎重に考える必要があります
スキンタグは、原因を見極めずに見た目だけを気にして切除すると、再発したり、別の場所が腫れたり、治りが悪くなったり、肛門が狭くなったりすることがあります。肛門縁の血流は全周に回っているため、一部分だけを切除すると、その両側が腫れることもありますし、切り過ぎると傷が閉じにくくなることもあります。スキンタグの多くは、必ず切除しなければならないものではありません。気になる場合は、まず肛門専門医の診察を受け、原因と治療の必要性について十分な説明を受けたうえで、主治医と相談しながら方針を決めることが大切です。